イベントレポート

ifia JAPAN 2019に行ってきました!~最新の食品素材が大集結~

行ってきました!「ifia JAPAN 2019」

ifia JAPAN 2019 第24回 国際食品素材/添加物展・会議
HFE JAPAN 2019 第17回 ヘルスフードエキスポ

開催日:2019年5月22日(水)~5月24日(金)
開催場所:青海展示棟ホールA・B(東京ビッグサイト)
テーマ:食品を愛するこころがつくる “たべる よろこび テクノロジー”

「ifia JAPAN(国際食品素材/添加物展・会議)」は、食品開発者を中心に、業界関係者が一堂に集う技術者のための専門展示会として1996にスタートし、2019年で第24回を迎えます。2003年には、機能性食品素材へのニーズの高まりを受け「HFE JAPAN(ヘルスフードエキスポ)」を同時開催、国内外から多くの来場者が訪れる展示商談会・国際会議へと成長しました。   ifia/HFE JAPANではエビデンスに基づいた信頼できる製品を展示するとともに最新の研究・開発から安全・品質管理までさまざまなセミナーを開催しており、明日の食を創造する場として食のトレンドを発信し続けます。


ifia JAPAN 公式HP「開催概要」から抜粋

開催期間は5/22〜24(3日間)ですが、私は初日(5/22)、2日目(5/23)に参加してきました。

今回は2日に分けてレポートしていきたいと思います。

ifia JAPAN 2019:1日目

9:40 ビッグサイト青海展示場に到着

受付を済ませます。開場は10時。

展示会への参加は無料(一部有料プログラムあり)ですが、事前登録が必要です。

この展示会に出展するのは食品添加物メーカー、素材メーカーで、メインとなる来場者は加工食品メーカーの原料調達部門や商品開発部門、研究所所属の人です。

原料調達部門:
その名の通り、原料の仕入れです。高品質、低コスト、安定供給を求めて定期的に仕入先を見直す。工場に直接納品する各種素材の買い付けを担当。

開発担当:
マーケティング部門と理系の開発部門と分かれる。双方が協力して新商品を世に生み出す。

研究所所属:
基礎研究や学会発表などを担当。サイクルの早い「個の商品」の設計よりも、長年に渡って蓄積された知識や、コアの部分を支える。食品メーカーの特許はここから出る。

原料調達・商品開発担当「こんな素材があるのあるのね!」、研究担当「こんなに便利な分析機器あるのね!」⇒⇒「使ってみたい!」

というマッチングが起こって、お互いの商売につなげるというのが趣旨の展示会です。

ですので、私のような翻訳業(少数派)は「その他」分類のパスになります。

こちらが昨年の来場実績です。


Ifia JAPAN2019公式HPより/2018年度来場実績

10:00 開場

開場早々にショックを受けます。

「撮影禁止」…!?

張り切ってレポートしようと思っていた私、当然写真もバシャバシャ撮ろうと意気込んでました。ここで思わぬ誤算… スマホ撮影はここでおしまいです。

しかし同時にこんな感情が。

「ってことはネット上にもあんまり情報出回らないってことよね。自分て来てよかったー!」

……ということで、会場内の写真は残念ながらお見せできないのですが、私が見たもの聞いたものをできるだけ他の画像を用いてお伝えしたいと思います!

10:30~11:30 分析機器メーカーのセッションに参加

まず始めに参加したのは、分析機器メーカーのセッション。製品自体の話だけでなく、関連分野の課題や動向も合わせて情報収集ができます。

1社20分、私は3社のセッションに参加しました。

  • 機能性食品開発のための最新技術:食品成分一斉分析サービス/ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(株)※受託解析

【用途】タンパク質分析/ゲルハルトジャパン(株) HPより


【用途】脂質分析/日本ビュッヒ(株)HPより

分析方法もいくつか出てきたのでノートにメモ。ヘリウムガスの供給不足など、背景情報も勉強になります。また、省エネや時短というキーワードはどの業界も共通だなと実感。ラボでの作業って、ひとつひとつにかなり時間がかかることがよくわかります。

実物もすぐそこに展示されています。本格的な分析機器、実物を見たのは初めてです。私の中のイメージで、もっとやぼったいものだと思っていたのですが(明細書の図面も無機質なので……)、率直な感想としては、「想像以上にスタイリッシュ!」です(笑)

昔の冷蔵庫のようなちょっと古めかしいものを想像していました。

11:30〜13:00 ブース訪問 第1弾

初日は中国からの出展企業を中心にまわりました。

事前に調べた情報をもとに、興味があった企業を訪問します。

※中国からの出展企業を確認されたい方はこちらをご覧ください。一覧の右下部分に記載されています。

まず最初に行ったのは、北京太爱肽生物工程技术有限公司

ペプチドを専門とする素材メーカーです。(ペプチドは中国語で「肽 tai」といいます)

こちらの企業、中国でこんな特許を出しています。

一种从美洲大蠊中提取小分子肽的方法

申請公布番号:CN106282281A

何の特許だと思いますか?

これ、ゴキブリから低分子ペプチドを抽出する方法の特許なのです。

日本人は「うわっ!」ってなりますが、中国ではゴギブリを漢方薬の原料に使ったりします。怖いもの見たさで(もう粉末になっていますが)ちょっと見てみたかったのです。

ブースを訪問すると、主力商品である「鱈コラーゲンペプチド(粉末)」のサンプルを渡してくれました。

ゴギブリ抽出物の特許を読んだことを話してみると…  「これね!」とパンフレットを広げてくれました。「ごめんなさい、これは今日サンプルないんです」

残念のような、ちょっとホッとしたような。

代わりにナマココラーゲンペプチド(粉末)のサンプルをいただきました。

ちなみに、鱈コラーゲンペプチドの商品はこちらになります。8g×20袋で、720元(約11,500円)

サントリーウェルネスのコラーゲンペプチドは6.5g×30袋入りで5000円なので、それと比べると少しお高めですね。

その後は中国企業のブースを10社ほど訪問。

中国に住んでいた話をすると、身近に感じていただけるのか、皆さんとても丁寧に対応してくださいます。わざわざ中国から出展して忙しいはずなのに、とてもありがたいです。

全体像としては、アスパラギン酸や増粘多糖類など、食品・医薬向け添加物を主力製品とする化学メーカーが多いです。そして、すでに日本のメーカーと取引きがある企業、OEM先を探している段階の企業、今回初めて参加して様子見の企業と、商売の状況は各企業違っています。

「今後、日本で広げていきたい商品はどの分野か」「日本で自社工場を立ち上げる予定はあるか」「技術面」「翻訳はどうしてるか」…  色々聞いてまわります。

話を聞いているうちに、あっという間に時間が過ぎていきます。

13:00〜13:45 出展企業セミナーに参加

こちらのセミナーに参加しました。会場も広く、展示会内で開催されているセミナーの中では規模も大きかったです。

  • 高齢者の認知機能と身体機能および心理状態に対するアスタキサンチン摂取の影響/アスタリール㈱


アスタリール㈱HPより

こちらのセミナー、めちゃくちゃ面白かったです!

内容を簡単に言うと、「アスタキサンチンが高齢者の運動機能維持にどう貢献するか」です。

アスタキサンチンって、あの鮭の身の赤い成分です。私たち女性にとっては「美容によい」というイメージありますよね。それが「高齢者とどう関係があるのだろう?」と、セミナーテーマを見たときから気になっていました。

セミナー自体は1時間ほど。聞けば聞くほどとても興味深い内容でした!

※こちらは別の記事にまとめました(中国語で解説していますが、下に日本語を載せています)

14:00~14:30 休憩

ちょっと遅い昼食タイム。まともなお昼ご飯なんてないだろうなーと思ってコンビニでおにぎり2つ買っていった私。キッチンカーがいくつも出ていて、めっちゃ美味しそうなスジ肉カレーも販売しているではないか…(泣)

次回行かれる方、ぜひ会場内で美味しいもの食べてください。。。

14:30~15:30 測定関連のセッションに参加

参加したセッションは2つ。

  • 食感数値化のためのテクスチャー測定器のご紹介/(株)山電

アジレント社のセッションにて。アミノ酸について「陽イオンにも陰イオンにもなるので、取り扱いが難しい」という話がありました。そうだよね。アミノ基とカルボキシ基、両方あるもんね、アミノ酸ちゃんは。。。これ、化学の基礎知識がないと一瞬で「は??」となりますが、ベースがあると一気に興味が広がる内容です。


アジレント・テクノロジー㈱HPより/質量分析計の小型化を実現

また、「食感の数値化」は嗜好性への対応だけでなく、最近では嚥下商品を支える重要なテクノロジーでもあります。ゲル化素材など、高齢者に目を向けた添加物も多数のブースで目立っていました。


山電㈱HPより/圧縮引張試験・摩擦試験が一台で可能

15:30~17:00 ブース訪問 第2弾

今度は日本企業のブースをまわりながら、中国から来た来場者に話を伺います。「何を見にきたのか?」「どこに注目しているのか?」など、質問してみました。

とある来場者は「日本の健康食品を見に来た」とおっしゃっていました。中国の素材をどう広げていくか情報収集もできますし、日本人が好むパッケージデザインや包装形態も実際に見た方がイメージをつかめます。皆さん色々な商品を手に取って見比べていました。

17:00 フラフラになりながら会場を後にする

ああ疲れた…いや、かなり充実していたなあ。

明日も楽しみだー!という期待感と心地よい疲れを抱え、家路につきました。

ifia JAPAN 2019:2日目

今日は会場に着く前からワクワクした気持ちでいっぱいです。事前に申し込みした大型セミナーに参加するからです。

項目は、

【1】第5回日中韓食品添加物フォーラム 5th Tripartite Food Additives Forum in IFIA(TFAF)

うち、下記プログラムに参加

  • 中国食品添加物行業及び法規、標準の現況紹介/中国食品添加剤和配料協会 副理事長 薛 毅
  • コーデックス食品添加物部会(CCFA)の役割と歴史/CCFA 元議長 陳 君石(Junshi Chen)

【2】中国調味料新興市場及び需要/中国農業農村部農業貿易センター

時間は計3時間ほどです。

こちらは有料プログラム(事前申込み:4000円)なので、早めに行ってスクリーンが見えやすい位置を確保。セミナー会場は黒幕で囲まれており、外からは見えなくなっています。

展示会にはこのようなセミナー会場が6つあります。

今回の日中韓食品添加物フォーラムでは、中国の国家基準である「食品添加剤使用衛生基準」の改訂に関する話、新品種の管理方法などが中心。

中国語で話をされていたのですが、一文ごとに通訳を挟みますので、その時間でノートへの書き込みもたくさんできます。こちらのフォーラム、内容も充実していて大変勉強になりました。

また、中国調味料の市場に関しては、「中国市場全体の販売量は低下しているが、販売額は大きく増加」との報告を受けました。特に「複合調味料」の伸びが著しく(単体調味料は苦戦)、海外メーカー製品が拡大。

その背景には、家庭で料理をしなくなった(特に中国の若者はその傾向が強い)、デリバリー・軽食が浸透するなど、生活スタイルの変化が大きく影響しています。

ちなみに、中国食品産業専門家の分析によって、中国国内の調味料市場は、2028年には16兆円にまで拡大すると予測されています。うち、海外製品が半数を占める見込みです。

14:00~16:00 ブース訪問 第3弾

昨日は中国企業の全体像を見たところで終わってしまっていました。

今日は、日本企業のブースにも立ち寄ること、食品素材以外のブースにも行くことを意識してブースを訪問。合わせて、昨日気になっていた素材をもう一度見に行き、お話を伺います。

ブースをまわっていて思ったこと…

トレンドとして、酵素、天然、高齢化(嚥下)などのキーワードは市場に出回っている商品からも感じ取れるのですが、意外とよく見るなと思ったのが「緑色のもの」です。具体的に言うと、「茶葉」「海藻」ですね。

・テアフラビンパウダー/横山食品㈱

産学官連携で生まれた特許製法により作られた茶葉発酵茶を、濾過濃縮スプレードライで乾燥した発酵茶。ポリフェノールが豊富なのに苦味がない。(実際に試飲したら、本当に苦くなかったです)

・ユーグレナKishu株/㈱ビオラボ

㈱ビオラボHPより

こちらの企業、少し前に食品専門誌のニュースに載っていて「おお!あの企業か!」と感動してしまいました。「ユーグレナ」という名はもう浸透していますが、和名は「ミドリムシ」、微細藻類の一種です。

GEウェルネス、ユーグレナ新株の大量培養に成功、6月から原料供給を開始

食品と開発 配信ニュースより

そして、昨日アスタリール社のセミナーで聞いた「アスタキサンチン」も、原料は「ヘマトコッカス藻」です。

アスタリール㈱HPより/こちらの企業は屋内でアスタキサンチンを生産しています

こういった発見ができるのは、原料・素材の展示会ならではですね。

加工度の高い一般食品(私たちが普段手に取る商品)では、なかなか前に出てこないので。

16:00~17:00 最後にひと回り

・書籍の購入

・海外進出相談ブースで、中国関連の動向などをヒアリング

・その他 学会などの情報収集

食品添加物総覧(食品化学新聞社)/定価1万円が半額で買えました。展示会はこういったメリットもあります
添加物ごとに解説されています。索引もあり、これから活用できそうです。

最後の最後まで堪能して、2日間の展示会デーが無事終了!

づーがーれーだー!!

足が……もう……

でも、本当に行ってよかったです!!

帰りに何か美味しいものを買って帰ろうと思っていたのですが、もういち早く家に帰りたかったので、どこにも立ち寄らず即帰りしました(笑)

こちらの展示会、来年(2020年度)の開催日も決定しています。

【Ifia JAPAN 2020】
開催予定:2020年4月22日(水)~24日(金)
場所:東京ビッグサイト 青海展示棟(今回と同じ)

※2020年4月13日追記
2020年度は新型コロナウイルスの影響により上記日程は中止となりました。また開催自体は延期もしくは中止で調整中と発表がありました。

ifia JAPAN 2019に2日間に参加した感想

ひと言でいうと、収穫大です。

中国の食品素材メーカーがこれだけ集まっている展示会は、日本ではそうないのではないでしょうか。実際に話を聞くと、予想とは違った答えが聞けることもけっこうありました。

「日本は人口も減少するし、市場として正直なところどう感じているか?」という質問には、「気にしていない」と答える担当者がほとんどでした。

実際に、中国の調味料市場は「流通量」は減少しているものの、「金額ベース」ではしっかり伸びています。同じように、添加物・素材に関しても、日本への輸出商品は単価面でも貢献度が高い、この事実が各企業を後押ししているのではと感じました。

また、完成した商品が並べられている展示会には何度も参加したことがあるのですが、「原料・素材」の展示会は今回が初めてでした。

とにかく新鮮でした!面白かった!加工食品って、ひとつの完成品になるまでに膨大な数の素材が組み合わせれているのですが、それを分解した素材そのものが展示されているので、見えるもの、浮かんでくるキーワードがまた違いますよね。

また、ブースを訪問した際に各企業の担当者の方がとても丁寧に色々なことを教えてくださり、大変ありがかったたです。

こういう展示会って、正直なところ安くない予算もかかっているし、準備も骨折り作業だし、私のような「商売にならない職種」よりは、調達に直結する来場者を相手にした方が、当たり前ですがメリットがあるのです。既存顧客との関係深掘りや、新規顧客との接点拡大が展示会に参加するメーカーが求める「収穫物」なので。

そのため、お話を伺う前はひと言お断りをいれつつ質問するようにしていたのですが、皆さんすごく丁寧に説明してくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。いつか何かのかたちで、日中の食品企業、食品業界にしっかり貢献していきたいと強く感じました。

想像以上に大きなものを得た2日間でした。知識の補充が必要な部分もたくさん見えました。

以上、長くなりましたが、ifia JAPAN 2019のレポートでした!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

お疲れ様でした!!