Tradosで翻訳作業が終わり、バイリンガルファイルに出力してチェックするぞ!
という段階で、出てきたWordファイルが文字化けばかり!
そんな経験をされた方、実は少なくないと思います。
実際に出てくるとこんな感じです。原文側の中国語が解読不能……(訳文の日本語は全く問題なし)
ネットを探しても同様の事象は見当たらず、Trados側に問い合わせても解決できず。
実はこれ、意外なことが原因だったのです。
この記事では、中国語翻訳において(中→日)バイリンガルファイルで文字化けばかりという問題が発生したときの対処法をわかりやすく開設しています。
原因:原文Wordファイルのフォント
結論から先に書きます。原因は、原文ファイルに指定しているWordファイルです。
一見、普通のWordファイルです。
しかし、これ実は2種類のフォントが混在しているのです。
混在しているフォント
「游明朝 (本文のフォント)」
「SimSun」
中国語文字入力時、Wordでは「SimSun」がデフォルト設定になっているので、フォントが違う文字がポツポツ入っているという状態になります。
ただこれ、表示サイズを拡大していると……全くわからなくなるのです!!(泣)
この「フォント混在Word原文」をTradosが読み込む→エディタで問題なく翻訳→バイリンガルファイル(Word)に出力するときにフォントが違う文字の前後(スタートと終わり)にタグをつけてくれる という状態だったのです。
よーく見ると、これ、文字化けではなく(欠落している文字はない)、フォントが異なる文字に連動する「タグ」の役割で羅列されていた文字列なのです。
対処法:フォントを統一する(混在状態の解消)
原文を読み込ませる前に「全て選択」→フォントを「SimSun」に変更
このワンステップを加えて原文Wordファイルを読み込ませると、その後出力させたバイリンガルファイル(Wordファイル)も綺麗な状態でした。
今回だけ起こった理由とは……?
今までこんなことはなかった!なぜ??
今まで何度もTrados上で翻訳練習をして、バイリンガルファイル(Word)も作成しています。原文ファイルは全てWordです。
「はっ!」と気が付きました。
今回はGooglePatentsからテキストを直接コピペしたのです。ネットからのコピペ、実はフォントが混在した状態だったのです。
今までのものは、日本語を読み込ませたあとに翻訳作業として中国語を入力。最後にWord出力。
Tradosを使用して訳出された中国語、Wordに出力されたものは全て「SimSun」フォントでした。よって「混在」という状態にはならなかったのですね。
秀丸からのコピペも然り。この場合もフォントは統一されます。
こういった非常に簡単なことが原因の場合って、意外と盲点だったりします。解決してよかった。
おまけ:日本語ではあまり使われないフォント「SimSun」
「SimSun」は、中国語でよく使用されるフォントです。中国で通っていた大学の課題でPowerPointを作成する必要があるときは、SimSunを使っていました。なぜなら、日本語と中国語を並べても全く違和感ないフォントがこれだからです。なので、使用者は多いです。
例えば、日本でよく使われるゴシックの場合、中国にしかない文字が混在するとこんな感じになります。
それがSimSunだと……
今回の小さな落とし穴として、「原文にフォントが混在していてもTradosエディタ上では問題なく表示される」ということが挙げられます。
つまり、Trados上では何の問題も感じることなく作業でき、バイリンガルファイルに出力したときに「え!?」となる→Tradosが原因なのではないかと思い込むというパターンです。
言語が英語の方はあまりない出来事かもしれませんが、中国語の方を扱う方は要注意です!
以上、Tradosエラー対処法としてシェアさせていただきました。