この記事では、SEMICON Japanの楽しみ方をシェアしています。特に初めて参加する方が、下記のポイントを知ることができます。
・展示会当日の具体的な流れ
・セミナーの申込み方法と当日の感想
・2日間の使い分け~私の例~
・最低限必要な準備
【SEMICON Japanとは】
SEMICON Japanは、半導体の前工程~後工程までの全工程から、 自動車やIoT機器などのSMARTアプリケーションまでをカバーする、 エレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会です。700社が最先端の製造技術を展示し、2万5000人の参加者が、日本そして世界から集まります。次の時代に向けた大きな一歩を踏み出す原動力となる新しい出会いの場をSEMICON Japanは参加者に提供します。(公式WEBページより引用)
目次
SEMICON Japan2019:1日目
9:40 国際展示場駅に到着
ビッグサイトまではゆっくり歩いて10分程度です。
SEMICON Japan2019会場に到着です。
◆メモ◆
事前申し込みをして、参加者パス(バーコード付)を印刷していくと、受付をスルーして直接会場入りできます。会場までの道に首からかけるパスホルダーが置かれているので、1つ取って自分が印刷したものを入れ、直接会場に向かいましょう。
※当日受付もやっています。事前・当日ともに入場は無料です。
いよいよ開場です。
10:00 開場
たくさんのブースが並んでいます。一言で書くと、「最・先・端」です!近未来の世界がそこに広がっています。
今まで食品系の展示会は数多く参加してきたのですが、どちらかというと地味な世界ですし、安心・安全などのイメージも重視されるので、食品は「身近に感じてなんぼ」のようなところがあります。
打って変わって、半導体の世界ってバリバリの「未来」を描くもの!今まで参加した展示会の中で、一番スタイリッシュでした。子どもみたいですが、入ってすぐに「かっこいい~~!」と感動する私。
例えるならば、映画「TRON LEGACY」の世界です。(好きだったなーこの映画。ストーリーの面白さは…敢えて評価しませんが(汗)、アトラクションに乗っているような「体感型」の映画です)
10:20 セミナーに参加①
セミナーは無料のものと有料のものとがあり、私は無料のものに参加。今回は2日間で3つのセミナーに参加します。
- SuperTHEATER SMART Transportation フォーラム I 自動運転最前線
- SuperTHEATER SMART Transportation フォーラム II 空の移動革命
- TechSTAGE SDGs/サスティナビリティセミナー 社会をささえる半導体による価値創造
◆セミナー参加方法◆
WEBページでプログラムが公開されています。気になるものをチェックして、事前登録しましょう。
参考:SEMICON Japan2019セミナースケジュール一覧【公式WEBページ】
セミナーは毎日開催されており、様々なプログラムが入れ替わりで進んでいきます。会場は複数あり、オープンスペースの非常に広い空間で実施されるものから、会議室の一室で実施されるものまで様々です。
有料と無料のものがありますので、内容をWEBでチェックして、事前に申し込みましょう。空きがあれば当日入場も受け付けますが、絶対に聴講したい!というものは事前登録しておくと安心です。人気のテーマはすぐに満席になります。
ここからは撮影禁止なので写真は残念ながらお見せできないのですが、セミナーの内容と感想をシェアしたいと思います。
最初に参加したセミナーは「SuperTHEATER SMART Transportation フォーラム I 自動運転最前線」。内容をまとめるとこんな感じです。
・IcT(IoT)とクルマの関係を振り返る
・自動運転の課題
・エネルギーモビリティーのメリット
・IcT発展による産業構造の変化
・半導体の貢献分野
・最新技術紹介(車載カメラ技術)
特に印象に残ったのは、自動運転技術と人間との間に生まれる「グレーゾーン」について。自動運転「レベル3」を取り上げ、自動運転が介在すると人間の運転はどうなるのか、そこにはどのようなリスクがあるのか、を具体例を交えながら講演されていました。
12:00 昼食
ビッグサイトの建物の中にはたくさんのレストランがあります。私はセミナーを聴講した会場のすぐ上のレストランでロコモコ丼を食べました。次のセミナーも同じ会場だったので、できるだけ離れずに食事をとりたかったからです。
こういったところは少しお高め(丼ぶり単品で900円程度)なので、節約したい!という方はおにぎりなどを持参しましょう。会場の外には座れる場所も多いので、そこで食べることができます。
12:50 セミナーに参加②
2つ目のセミナーは「SuperTHEATER SMART Transportation フォーラム II 空の移動革命」。
このセミナー、それこそ「近未来」そのもの、映画のような内容が盛りだくさんで心を揺さぶられっぱなしでした。いわゆる「空飛ぶクルマ」がテーマです。
飛行機から始まったスバル社、経済産業省、ヘリコプターで有名なベル社が講演されていたのですが、ノートをとっていつうちに「これってもうすぐそこに来ている現実の世界なんだな」と感じました。
空飛ぶクルマは、現段階では明確な定義はないものの、「ネットに繋がっている」「自動運転が可能」「垂直離着陸」という3点を兼ね備えているものになります。
世界各国でテスト飛行は進んでいるものの、ネックはコストと法整備。
技術的に安全確認は取れている段階のものもあるのですが、やはり「実用性」がないと、また量産化できないと、コストに見合った運営ができません。このあたりはまだ少し時間がかかりそうという印象を受けました。
それでも、楽しみですね!ここに載せることができないのは残念ですが、会場で見た数々の動画は、これから少し先の未来を数倍楽しみにさせてくれるものでした。
14:30 ブース巡回
1日目のブース巡回の目的は、「全体を見る」です。
・前工程、後工程って具体的にどんなものが展示されているのか
・どんな企業が幅を利かせているのか(ブースの大きさ、来客立ち寄り数など)
・できる限り多くの「実物」を自分の目で見る
ブースを回るときのポイントは、「これはこういう用途で使う部品かな」「これは半導体のこの部分になる材料かな」とイメージを膨らませながら見て回るということです。
最初は、「何これ?」と思うものが多くても、数を見ているうちに「こういうことか」とつかめてくる部分があります。展示している企業が多いということは、それだけ肝となる(需要も多い)パーツなのだな、と体感しながら知ることができます。
逆に、どうしてもわからないものや、他のブースではあまり展示していないものを見たときは、ブースの方にお話を伺います。
とはいえ、まずは一度、全体を一周することをお勧めします。
初めて行く国の観光本を見るイメージですね。全体にどんなものがあるか見て、気になるところ、惹かれるところ、もっと深堀りしたいところを「ブックマーク」しておきます。
そこは次の日に再度ブースを訪れます。その「深堀り」は2日目に実施します。
たくさんのブースを訪れ、気になるところはパンフレットもいただきました。
16:00 会場を後にする
展示会は17時までですが、今日は16時でブース訪問を終え家路につきました。自宅に着いて、早速復習。本日見た内容、収穫、今後に生かせそうなポイントをまとめます。
いや~歩いた歩いた!
SEMICON Japan2019:2日目
10:00 会場到着
10:20 セミナーに参加③
本日参加するセミナーは「TechSTAGE SDGs/サスティナビリティセミナー 社会をささえる半導体による価値創造」です。
内容は、「そもそもSDGsって何かわかっていますか?」から始まり、企業ができること、個人が持つべき考えなどに触れられていました。
半導体を深堀りするものではなく、半導体産業がSDGsにどう貢献していくか、という角度でセミナーが構成されていました。
今まさにどこでも目にするようになったSDGsですが、その意義を改めて考え、認識するよいきっかけとなりました。こういう角度のセミナーも用意されているなんて、ある意味新鮮でした。SEMICONセミナーの幅広さが垣間見えました。
私が参加したセミナーは3つ、上記にご紹介したものです。この他にも多種多様なものが用意されています。
例えば、若手技術者でディスカッションするようなものや、有料プログラムで(3日間通しで)半導体全体像のレクチャーを受けるものなど。
今回は初めての参加だったので、自動運転や空飛ぶクルマなど、ある意味「層の厚い」分野に参加しましたが、来年はもう少し踏み込んだものにもチャレンジしてみようと目論んでいます。
11:30 昼食
今日は同じようにSEMICONに参加する翻訳者さんとお昼ご飯を食べる予定!楽しみだー!といいつつちょっと緊張。久しぶりにお会いできた方、初めてお会いできた方、色々な話で盛り上がりました。とっても楽しい時間になりました。こういった時間を過ごせるのも、全国、いや全世界から人が見に来るSEMICONならでは!
14:30 ブース巡回
2日目のブース巡りは、1日目にチェックしていたブースを中心に、ダイレクトにブース訪問。
1日目の振り返りを実施して、
・行くブース
・そこで聞いてみたいこと
を整理した上で訪問します。
2日目は1日目と違って(こちらからの質問内容も違うので)各ブースでしっかり話を聞くことができました。訪問数は少なくなりますが「知りたいことを知る」という目的でブース訪問をしているので、2日目の方が満足度が高いです。
ここで注意していることが1つだけあります。
冒頭に「私は半導体関係の企業には属していないし、購入権限もないし、御社のお役に立てる立場ではない」ということをお伝えしています。
こういった展示会は、出展するのにめちゃくちゃ高いお金を払っていますし、購入権限のあるバイヤー人や得意先になり得る人との接点を拡大して、売上につなげていくのが目的です。
いくらこちらが「来客者」という立場だからといって、ブース側の方の時間をむやみに奪うのは失礼なことだと思っています。なので、最初に自分の立場を明確にして、「もしご迷惑でなければ、少しだけ教えていただきたいことがあるのですが」と、お願いしてみます。
大体の方は非常に親切で、こんな素人にも丁寧に教えてくれます。(プロの説明って、本当にわかりやすい!)
ありがたいなぁと思って聞きつつも、少しでも違うお客さんの気配がしたらぱっと引くようにしています。
これは「絶対やるべき」と強要するようなことではありませんが、前職でブース出展を何度も経験している立場から言うと、やはり少しの「配慮」は必要だと思っています。
17:00 会場を後にする
いや~!あっという間の2日間。非常に充実していました。
今回初めてSEMICONに参加しましたが、2日とっていてよかったです。1日では足りませんね。
展示会自体は3日間開催です。3日間いるかと言われると、そこまでは必要ないですが、やはり1日だと短すぎます。時間の余裕があれば、2日間の参加をお勧めします。その分セミナーも参加できますし。
2日間、お疲れ様でした!
最低限必要な準備:これだけは事前にやっておくべき!
上記の通り、「半導体をこれから勉強したい」「一歩を踏み出すきっかけにしたい」「もっと詳しくなりたい」という初心者レベルの人でも、SEMICON Japanは十分に楽しめます。
そして、とっても勉強になります。まさに、百聞は一見にしかず。間違いなく、学習を加速するきっかけになってくれます。
しかし、ひとつだけ「やっておくべきこと」があります。
それは、「最低限の基礎知識をつけていくこと」です。
当たり前ですが、ここの部分がないと、はっきり言ってこの2日間、無駄になります。
この「無駄」というのは、「楽しめない」という意味ではありません。知識ゼロでも、楽しいです。見ていてわくわくします。
ただ、「わ~!すごかったね!」で終わってしまい、その後定着しません。それではただの遊園地と同じです。
参加したあとに「起爆剤」にするためには、最初の1段だけでよいので、階段を一歩上っておくことが重要です。
つまり、「基本のキ」の知識は付けてから参加するということです。
前工程ってこんなことをするのか。
後工程の問題点って、こんなことがあるのね。
半導体は身近なものだとこんなところに使われているのか。
これからこんなことができるのか。
こういったことすらない状態でいくのは本当に勿体ない展示会です。
例えば宇宙人が地球に来て初めて「家」というものを勉強するとします。
家っていうのは、「柱」があって、「床」があって、「壁」があるのね。2階建てがあったり、3階建があるのね。そして、柱や床、壁ができた後には、テーブルやソファを入れるのね。それが「家」ってものなのね。
最低限ここまでわかっていないと、展示品がただの石ころに見えます。そもそも、会場地図も「前工程」「後工程」「材料」で分けられているので、「だいたいどこに行けば何を見ることができるか」すら想像できません。これは非常に効率が悪いです。
では、どうするの?というところですが、
方法はシンプルで、「初心者用の書籍を1冊通しで読み切る」です。
1冊で大丈夫です。でも、1冊丸々読み切りましょう。難易度の高いものを読む必要はありません。基礎的な内容が書いてあるもので大丈夫です。
おすすめはこちらです:
私も1冊読み切ってSEMICONに参加しました。本を読み切ったときはわからない部分も残っていましたが、実物を見て「なるほど」と解決したものもありますし、少しだけでも必要な知識(全体像)をつけていくと、当日に目にするものへの興味の度合いが自ずと変わってきます。
ぜひ1冊目を通して参加されることをお勧めします
所感:自分の目で見て「体感」すると、世界が変わる
私は今回、SEMICON Japanに初めて参加しました。
半導体分野は初心者で、参加する1ヶ月前は「半導体は……えっと、精密機器。以上。」という具合のレベル感でした。
SEMICON参加した理由は、中国語翻訳者にとって半導体は避けては通れない分野であり(今最も中国が注力している分野のひとつであり、市場拡大は確実)、「ちゃんと知識をつけておかないと」と若干の焦りを感じた、というのが正直なところです。
事前に初心者用の本を1冊読んでいったものの、この時点では「正直難しいなぁ…やっぱり苦手だなぁ。でも、中国の動向を見ると、この分野は避けて取れないしな」という気持ちでした。
これが展示会参加を経て、こう変わりました。
「半導体の世界ってすんごいな!もっと知りたいな!」
そうです。
「勉強しないといけない」ではなく、「自分から知りたいと思う」気持ちになったのです。
これってめちゃくちゃすごいことですし、自分で言うのも何ですが、非常に素晴らしいことだと思います。だって、同じやるにしても「しないといけないから」と感じながらやるより、「したい」と自然に思える状態でやる方が、楽じゃないですか。
自分の気持ちには嘘つけないので、ここの部分がすごく「楽」になったことは、今回SEMICON Japan2019に参加した一番大きな、そして一番自分では得難い収穫でした。
来年も楽しみです。
以上、SEMICON Japan2019初参加のレポートでした。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!